The Travellers with Naoyuki Fujii レコーディングレポート~補足(2)

メンバー紹介のつづき。

Guitar」,「Vocal」石原顕三郎(Kenzaburo Ishihara)
kenzaburo
久留米在住。他では聴けないアジのあるギターを弾く顕三郎さん。若い時分、年上のオネエサマに可愛がられただろうなと思わせるルックスとその性格。寡黙揃いのメンバーの中、スタジオでの発言は一番多く、ムードメーカーの役割も担っている(と思う)。少し潰れた感じのロックな声がミリョク的。アルバムでは尚之さんの声と、いい対比になっている。

guitar
ギターはAmpのみ、マイクは2本。[Shure SM57]、[AKG 414ULS]。HAは[Shep 31105]。

GretschのギターからMatchlessのアンプへ、ケーブル1本。間に余計なものは何も入っていない。逃げも隠れもしない一本道。カッコイイっすよ。

Tenor Saxophone」武田真治(Shinji Takeda)
shinji2
久留米在住。ベース武田圭治さんの実弟、真治さん。兄の圭治さんからの情報で元高校球児(久留米商)だったことが判明した。1983年夏に甲子園出場経験あり(1番ファーストだったそうだ)。戦績はなんとベスト4(準決勝で横浜商に12-2で敗れている)。1983年の夏といえば甲子園に大スターが登場した年だ。そうPL学園のKKコンビ、桑田真澄と清原和博である。もし横浜商に勝ち決勝へコマを進めていたら、そのPLと対戦できていたのに、、、。それを思うととても悔しい。今度真治さんに会ったとき、甲子園の話をたくさん聞きたいと楽しみにしている。真治さんを見る目は、私の中で確実に変わった。

Tenor Saxophone」,「Vocal」藤井尚之(Naoyuki Fujii)
Naoyuki
久留米出身、東京在住。今年、チェッカーズデビューから数えて30年。おお、いま気づいたが真治さんが甲子園に出た年とデビューが同じではないか。高校球児とチェッカーズ、意外な接点があった。

尚之さんとは思いがけず長くお付き合いしている。出会いはもちろんチェッカーズ。私が一口坂スタジオで見習い勤めをしていた1990年2月、「夜明けのブレス」のレコーディングが最初だ。チェッカーズのメンバーはみなやさしく、未熟な私の失敗にも大らかな態度で接してくれた。そのおかげで今日まで続けることができたといって過言ではない。素敵な方と知り合えたことは私の貴重な財産である。

sax57
ふたりともに[Shure SM57]。HAは[Mackie1642-VLZ Pro]。

ソフトな曲ではドラムのオーバーヘッドへのカブリ音が大きく、ミックスダウンで少し手間どったこともあった。ラストの曲「切れた首飾り」ではオンマイクをほとんど使っていない。

以上、私の拙いレポートはオシマイである。スタジオの空気がなんとなく伝わっただろうか。

ここまでのレポートは、録音技師として間近で仕事をしながら、私が見た出来事をありのまま綴ったものである。書かれた内容に嘘偽りはない。ただそれは私の目から見た話であり、私が知りえた事実だ。世の事象は万事画一ではなく、見る角度と情報量の違いで、関わった人の数だけ「真実」が存在する。神サマでもないかぎり、物事を客観的に見ることなんて出来るはずはない。真相は常に「藪の中」なのだ。

おわり。


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