月別アーカイブ: 2013年8月

The Travellers with Naoyuki Fujii レコーディングレポート~3日目(2)

shinji
な、尚之さん、楽器、また持ち替えてましたけど、い、いーんですか?

んんん???

いまこれを読んでくださっている方々は、頭の中にクエスチョンマークが浮かんでいることだろう。この時、それと同じ「???」がスタジオ内にも飛び交っていた。ただ一人を除いて。

その人、藤井弟さんは窘めるような目付きで、武田弟さんをジッと見つめていたという(Kディレクター談)。私はその瞬間を惜しくも見逃した。

何が起こったのか順を追って整理しよう。

(1)「Neo Cat」はテイク5がOKとなった。

(2)しかしハリーさんは自分の演奏で一部気に入らないところがあるという。

(3)その場所を前テイクと差し替えようとする。

(4)だがOKテイクだけ尚之さんの楽器が違うため、前テイクとの互換性がない。

(5)そこで差し替え用に、OKテイクと同じ状態でその場所だけ録ろう。

(6)OKテイクと同じサックスで演奏しているはずの尚之さん、実はそれ以前のテイクで使ったサックスを吹いていた。

(7)隣で目撃した真治さん、それをチクる。尚之さん睨む。

部分録りするのは何のためか。差し替えしようにも他のテイクはOKテイクと音が違うから、同じ環境で差し替え用のパーツを録る、そういう話だったのだが、、、。

そんなことをすべて吹っ飛ばす尚之さん(普通の人ならオイオイ、、、となるところ。それがミリョクのひとつになるなんてズルい。私はますます好きになりましたよ)。

こちらの意図がうまく伝わらず、もう1回全部演奏するつもりだったのかもしれない。おそらくOKテイクのサックスも、何かしっくりこないところがあったのだろう、そのことで頭が一杯だったのかと想像する(そう、心の奥底は覗けないのだ)。

それよりも、真治さんに指摘されるまでその違いに気づかなかった私が問題である。ドラムの音ばかりに気を取られ、サックスは同じもの、と思い込んでいた。人の思い込みというのはオソロシイ。

結局のところ「OKテイクだけ尚之さんのサックスが違う」という問題は何も解決されなかったワケだが、この場はこのまま笑い話で済ませた(済ませていいのだろうか)。案の定、ミックスダウンの時、2つのサックスの違いが気になってしまい、そこはプロの技で整えることとなった。

gtr_vol
3曲目「Mojito

インストが2曲続いた後、本日の締めは唄曲で。Vocalは顕三郎さん。

今度こそ唄は別録りにしたいと、顕三郎さんは言う。A,Bメロと音程が低く、オケに対して埋もれがちになる旋律のため、私もその方がいいだろうと判断した。

ただいきなりカラオケで録るというのでは、曲の全体像が見えにくい。主役不在のドラマを観るようなものだ。そこでバンドのエンジンが掛かるまでは同時に唄ってもらった。

唄ありの状態で3回練習し、機が熟したと見えたところで本番。カラオケ演奏は3回目でOKとなった。

間髪おかず、Vocalダビングに取り掛かる。久留米での前作から今日まで、この現場でこういう普通のVocalダビングは初めて。スタジオにおいて最もありふれた仕事なのに、なんだか不思議な感じがした。

Early Early」「Repeat Day」とVocal同録のとき、シュアーSM58を使っていたVocalマイクを、今度はM49にした。いま思えばそのままSM58のほうがよかったかも、、、と反省している。ロックな顕三郎さんの声にはSM58がピッタリだった。もちろんM49も悪くないのだけれども。

唄は通しで3回録って終了。テイクを少し入れ替えてOKトラックを作った。

3×3=9の3日で9曲。こんなに順調でいいのだろうか。

4日目へつづく。

 


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The Travellers with Naoyuki Fujii レコーディングレポート~3日目(1)

7月17日、レコーディング3日目。

ここまで予想を超えるスピードで快調に進むレコーディング。それでも知らず知らずの間に疲れが顔を出し、ともすると緊張感が薄れ始める3日目の朝。

それをグッと引き締めるかのごとく、身振り手振りで熱血指導を行う武田真治さん(それを真剣に聴くハリー吉田さん)。武田家は親御さんの躾がよかったのだろう、兄弟そろって緩むことがない(他のメンバーも緩んでいるワケではないが)。
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1曲目「Airport Express

昨日の反省から滑り出しは軽めに、ドラムがブラシのインスト曲。

チラホラとスタジオに漂う軽い疲れが吉と出て、ほどよく力の抜けた演奏は、テイク1からOKレベル。そしてプレイバックせず続けて録ったテイク2。満点がでた。

一口に「OKテイク」といっても、それがすべて100点満点かと問われれば、残念ながらそれは否。「OK」の中にもいくつかランクがあると私は考えている。

仮に80点以上をOKレベル、合格点としよう。その80~99点のもの、それを少しでも100点に近づけるべく我々は手を尽くす。世に出るまでには、80点と99点の区別はつかなくなっているハズだ。

ただどんなにコトが上手く運んでも、結果は100点未満であろう。100点満点のテイクというのはズバ抜けている。秀才と天才の差、とでもいおうか、両者を分かつ壁は高く、そして厚い。

満点のテイクは軽く手を添えるだけで充分。むしろいじり過ぎるとマイナスに作用する。この「Airport Express」テイク2は、編集作業はもちろんのこと、リバーブなど残響を付加するエフェクトは何もつけずにミックスダウンされた。5人の演奏が響きあう部屋の空気を堪能してもらいたい。

こういうテイクが録れたのは一種のマジック。いろいろな要素が噛み合わなければ生まれない。それを細かく説明するのは、いまの私では荷が重すぎる。

saxs
2曲目「Neo Cat

1日目のレポートで、最初に録った「220V」がアルバム1曲目になるだろうと書いた。しかしそれは間違いで、実際はこの「Neo Cat」がアルバムのスタートになる。

これもインスト曲。ドラムは同じくブラシ。ただし途中で一度スティックに持ち替えるパートがある。

テイク2でOKがでた前曲とは違い、これはテイクを重ね、ジワジワとよくなっていった。そしてテイク4でかなりOKに近づく(私の秘蔵メモでは「4」が三角で囲まれている)。プレイバックを聴き、手応えを感じている様子のメンバーの中、ひとり尚之さんだけ表情がすぐれない。

ちょっと一服タイム、といった感じで無言のままスタジオを出てゆく尚之さん。しばらくして、いま使っているものとは別のテナーサックスを手にして現れた。サックスの音色が満足いくものではなかったのだろうか?口数の少ない尚之さんの心の奥底は、酒の力を借りずして容易に覗くことはできない(力を借りすぎてもまた覗けない)。

そしてサックスを持ち替えて録った5回目がベストテイク。満場一致でOK、と思ったのもつかの間、ここまで沈黙のハリーさんが口を開く。

「冒頭のドラムのノリが気に入らない。その辺だけ前のテイクに差し替えできないだろうか」

カブリまくりの一発録り、ドラムだけ別テイクに差し替えるのは難しく、オケ全部を一緒に編集しなければならない。だが尚之さんのサックスを替えたばかりで、これまでのテイクとは音色(替えたサックスは少し柔らかい音色)がやや異なる。

そこで冒頭から何小節か、差し替え用に演奏してもらった。今度はハリーさんも納得できるプレイだったようだ。編集も成功。ドラムの音の強さ、テンポ感、どちらもスムーズにつながっている。

オッケー、少しブレイクして次曲へ進もう。みな席を立ち動き出そうとした瞬間、これまた沈黙を守っていた真治さんが信じられない(シャレではない)ことを口にする。

つづく。


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The Travellers with Naoyuki Fujii レコーディングレポート~2日目(2)

1曲目が終わったところで、今日みなが持ち寄った体力の大半は消費された(かのように見える)。かといって1曲で終わるわけにもいかず、次はすぐできそうなインスト曲を選んだ。

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2曲目「Rush Hour

スルスルと始まったセッションは、1回2回とテイクを重ねるごとプレイの質が高まり、3テイク目にはOKレベルに達した。私がコッソリつけていた手元メモには「3」がマルで囲まれている。

プレイバックを聴くメンバーも、まんざらでもない様子だった。しかしここで立ち止まらないのがトラベラーズ。さらなる高みを目指し、もう一歩踏み込む。そして4テイク目、神が降りる。メモは二重マルになった。

サビ(と呼んでいいのかわからないが)で暴れる顕三郎さんのギターがカッコイイ。ギリギリセーフな危ういプレイは聴くものをドキドキとさせ、その緊張感はクセになるだろう。業務上、私は何度も聴き、次どう弾くのかすべてわかっているのに、いま聴いてもまだ「だ、大丈夫か?」と鼓動が早まるのを止められないでいる。これはなかなかすごいことだ。

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メモによると、曲終わりで編集作業があったようだ(たしか2小節くらい入れ替えた。「4-3-4」と書かれているのは、OKテイク[4]に前テイク[3]を部分的に挟み込んだことを表している)。二重マルの「4」の下に「SAX」と書かれてあるので、きっとサックスに何かがあったのだろう。自分でメモっておきながら「SAX」の下に書かれた小さな文字が判読不能。まあそんなことはどうでもいい。

難航した前曲から見事リカバーし2曲終了。他人よりも1,2拍ほど早く飽きのくるKディレクターは「なんか今日は疲れちゃったね」といった心の声を静かに発し、それとなく店仕舞いの雰囲気を漂わせる。その声は武田兄さんに届いたのか届かなかったのか。ストイックなキャプテンはさも当たり前のように、次曲への船出に取り掛かる。

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3曲目「Repeat Day

2日連続で3曲目に突入。顕三郎さんの唄曲だ。さあ今度はどうやってVocalを録るか。

昨日の「Early Early」は語りのようなVocalだったこともあってか、自然とそのまま同録する流れになったが、今度はしっかり唄う曲。しかもサビメロの音程が高く、そう何度も唄えるとは思えない。効率を考えれば、唄はダビングのほうがいいのだろうか。

トラベラーズがこれまでにやってきたレコーディング方法を聞くと、オケを録るときは唄を入れず完全カラオケ状態で演奏し、あとで顕三郎さんの唄をダビングしていたという。今回もそれにならい、ギターはギター、唄は唄、と別々に集中して演りたいという顕三郎さんからの要望もあった。

迷うところだ。私の本音はギターも唄も同時に演ってもらいたい。ただこの曲に関してはサビメロの高さが気になる。ノドが潰れてしまってはそこで終了だ。

ここでもまた我々の持つ昨日の貯金が心にゆとりをもたらす。ダメなら今日録れなくてもいいじゃないか、そんな開き直りができるのだ。今回のレコーディングは月曜日に始まり土曜日までの6日間(翌週にも予備で2日用意してある)。そこで13曲録ればいい。いま2日で5曲終えた。残り4日で8曲。1日2曲ペースで完成する。

そうこうしているうち、顕三郎さんから「この曲はすでにライブでも演って慣れてるので唄も一緒にいけそう」というお言葉をいただいた。本人からそう言ってもらえるのならば大歓迎、こちらはもうただ録るのみだ。

5テイク録り、最終テイクOK。さっきのギターじゃないけれど、声が割れる寸前の必死な力強さ、その中に垣間見える儚さ「滅びの美学」がある唄に、魂の奥底が揺さぶられることだろう(聴いてみたが揺さぶられなかった、なんて苦情は受け付けない。そういう感情には個人差があるものだ)。やはり同録はいい。

本日はここまで。ちょっと演奏しすぎの一日だったが、なんとか難破せず3曲録りきった。めでたしめでたし。

3日目へつづく。


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The Travellers with Naoyuki Fujii レコーディングレポート~2日目(1)

7月16日、レコーディング2日目。

薄曇りのためか猛暑だった昨日に比べ、気温はそれほど上がらず身体にやさしい陽気。そんなアイサツ代わりな天気の話題は、スタジオに足を一歩踏み入れればどこ吹く風の別世界。ここはクールでホットな矛盾する空気で満ち満ちている。

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本日1曲目「Sepia Color

尚之さんの唄声が甘く響く、尚ちゃんファン垂涎の曲だ。

Vocalをどう録るか、というのは、今回一番の課題である。もちろん基本は同録。しかしこの狭い中で可能だろうか。前回の舞台、オイリーズカフェには充分すぎるほどのスペースがあったので、唄の時は場所を変え、他のメンバーから少し離して録っていた。距離を自在に調節することができたわけだが、ここにそんな余裕はない。

選択を迫られる。唄もそのまま同じ部屋で録るのか、または「中二階(注)」へ隔離するのか。さらに言えば唄は別録り、ダビングにするか。

尚之さんは「同じ場所でも中二階(実際には私以外、誰もそう呼ばない。そんな私も口に出したことはないけれど)でも、どっちでもいいよ」と言い、懐の深さを見せる。

唄うだけならば中二階で録っていたかもしれない。しかしこの曲は唄の合間(前奏、間奏、後奏)でサックスも登場する。サックスは窮屈な中二階ではなく、ブースの定位置で他の楽器とカブリ合いながら録りたい。それならば答えはひとつ。さっきと同じ場所でサックスを持ちながら唄ってもらうことにした。

Vocalマイクには伝家の宝刀、ノイマンM49(株式会社アップアップ所有品)を使った。無駄に(ではないが)大きいチャーミングなフォルムと、一本スジの通ったコシの強い音が録れるステキなマイクだ。

mic49
M49は古い真空管マイク。この手のオールドチューブマイクは、それまで使われてきた環境、メンテナンスの具合、そしてマイク自身の持つ運(実はこれが一番大きい要素だ)によって、個体差がとても大きい。同じモデルで全く違う音がすることも稀ではない。

そんな数多あるM49の中で、これはおそらく日本一だろう(個人的感想)。前回の久留米へは諸事情で持ち出せなかったが、ここは都内、今回は満を持してご登場と相成った。

このマイクは尚之さんの過去の作品でも使われている。たしか「ゆるりふわり」あたりの唄はこれで録っていたハズだ。あれはいま聴いてもどこかホッとさせる、よくできたアルバムだと思う(他の作品がいま聴いたらよくない、という意味ではないので曲解しないでいただきたい)。

無駄話が長くなった。しかし世の中の大方が無駄で成り立っていることを思えば、そう悪いことでもない。話を戻そう。

saxx
Sepia Color」は、少しばかり難航した。

テイク数はすでに5つ(実はこれ以外にもマイクの変更などで捨てたテイクが2つある)。徐々に気だるさが漂い始めたメンバーから景気のよい声は聞こえてこない。しかし前日に3曲終えているという「心のゆとり」があったため、誰ひとりとして慌てるものはいなかった。

実を言えば最後の5テイク目はかなりいいデキだった(と私は思っていた)。さりげなく「これでオッケーじゃないですか」と水を向けてみたものの、メンバーは納得せず、またブース内の持ち場へ帰ってゆく。

そして誰も確信のないまま3回テイクを重ねた。合計テイク数は8(実は10)。明らかにやりすぎだ。尚之さんの声質もだいぶ変わってきてしまった(悪い方へ)。全体の演奏もどこか散漫な感じ。もうここいらが引き際だろう。

頭を少し整理して、オススメの5テイク目を聴いてもらった。自分に厳しいメンバーも精魂尽き果てたか、今度は納得してくれた様子(断っておくが仕方なくOKにしたのではない。もともと充分によかったのだ。それはぜひアルバムを聴いて確認してもらいたい)。

1曲目から体力の消耗が激しい。長めのブレイクを入れた。

つづく。

(注)中二階についてはレポート1日目(1)を参照のこと。


ゆるり ふわり

The Travellers with Naoyuki Fujii レコーディングレポート~1日目(3)

2曲目「Early Early

monitor1
立場上、演奏中はスピーカーの前で聴く必要がある。のこのこブースに入って撮影する余裕はないので、持ち場から手を伸ばし、TVモニターに映る姿を1枚。

ギターを弾く顕三郎さんの口元に、マイクがセッティングされている(上の写真で見えるだろうか)。マイクがあるということは、唄う。とはいってもこの曲では唄というより「語り(英語)」だ。これももちろん同録でいく。

そう、あとドラムにちょっとした変更がある。
woodblock
バスドラムの代わりに右足はこのウッドブロック(正しくはジャムブロックという名前か?)を鳴らす。さらにスネアドラムはスナッピー(響き線)をオフにしてティンバレス風に。この曲はドラムというよりラテンパーカッションだ。

なんとなくセッションが始まったので、こちらもなんとなく録ってみる。続けて2回演奏した。これまた1テイク目がすごくいい。

お、いきなり終了かと思った矢先、尚之さんがサックスのパートを変更する(尚之さんと真治さんでどっちが主メロでハモリはどっちか、とか、、、たぶん、、、)というので、これは忘れて仕切り直し。

3テイク目。イントロから言い知れぬ緊張感が漂い、これは来た、と思われた。だが惜しくも終盤ミスが出て演奏が止まってしまった(誰のミスかは教えない)。

4テイク目。前テイクがさらにグレードアップ。これを怪我の功名というのか。完璧だった。

メンバーがコントロールルームに集まり、確認のプレイバック。みな納得顔だ。フッと気を抜いた瞬間、尚之さんがつぶやく。

「シェーカー入れたいよね。」

おお、2曲目にして早くも禁断(でもないが)のダビングだ。しかしこれをやるには問題が2つある。

1つ目の問題「楽器はあるのか」。それはマネージャーの伊東くんが、いつの間にか準備していたので解決。

2つ目の問題「誰が演奏するのか」。みなの視線はドラムのハリーさんに集まった。殺気を感じたのか、ハリーさんは「できない」と激しく拒絶する。言い出しっぺの尚之さんも立ち上がる気配はなく、武田兄弟は目を伏せ寡黙だ。

パーカッションの多くは振るか叩くかすれば、誰でも簡単に音を出すことができる。ただ「音を出せる」と「演奏できる」は同義語ではない。パーカッション(特にシェーカー)は、見た目以上に難しい楽器である。

ここで名乗りを上げた勇者は顕三郎さん。結果は5分で撤退した。こういったところの判断は早く、潔い。無理にシェーカーを入れなくても曲としてすでに成立している、ということで2曲目は終了した。

オイリーズカフェでやっていたなら今日はここまでにして、通りをぐるりと回り「やきとり天神」へ向かっていたところだろう。しかしレコーディングスタジオは音楽制作に特化した場所である。こういう場にいるとミュージシャン魂に火がつくのか、もう1曲録りたいという。

私とKのつくディレクターに、それを拒む理由は何もない。むしろ歓迎だ。

3曲目「El Camino(エルカミーノ)」アルバム表題曲。

ここでのレコーディングに慣れてきたのか、バーっと勢いで3テイク録った。

最後のテイクがとても良かったが、一箇所だけ致命的なミスがあった。そこを別テイクと差し替え、編集したものをプレイバック。しかしなんだか浮かない顔、顔、顔、、。
playback
そこでこれが最後と決めて、もう1テイクだけ録ることにした。

しかしみなもう疲れていた。それが演奏に滲み出てしまっている。高かった夏の陽もすでに落ち、店仕舞いにはちょうどいい頃合いだ。とりあえず編集テイクをOKとし、後日再チェックするということになった。

初日でまさかの3曲(3曲目は保留だが)。この上なく順調な滑り出しであった。

2日目へつづく。


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