早いもので今年も残りわずか3週間。「今年も一年あっという間だったねー」なんて挨拶が飛び交う年の瀬に、尚ちゃんからファンの皆さまへお歳暮のようなニューアルバム「My Life」が届けられた。

昨年末、50’s生誕祭ライブレポートの終わりで、歌手「藤井尚之」のアルバムを希望する、と書いた。まさにその通りのアルバムが出来上がった。尚ちゃんの代名詞サックスを封印し、とにかく全13曲、唄いまくりである（サックスが入ってるのはたった3曲だけだ）。

レコーディングは順調そのもの、バンドはほぼ一発録りでダビングは少なめ。尚ちゃんの唄もM1「たそかれ」とM9「Blue Moonlight」はバンドと同録したものがOKテイクとなった。

素敵なサウンドを奏でた「尚ちゃんと愉快な仲間たち」を紹介しておこう。

左から梶やん[Bass]、リクくん[Drums]、佐藤くん[Key]、尚ちゃん[Vo,Gtr,Sax]、菊ちゃん[Gtr]、まっすん[Arr,Gtr]。10代から50代まで幅広い年齢層のツワモノども、全曲無事に録り終えリラックスの図。

めでたしめでたし、と安心していたところに、なぜか突然ボーナストラックの話が持ち上がった。何かカバー曲をということで「白い雲のように」を収録することに。本編のバンドサウンドとの差別化のためフワフワしたオケをまっすんが作り、そこにフワフワしたソプラノサックスを尚ちゃんがダビングした。

この曲は誰が唄ってもリピートのAメロ「ポケットのコインを集めて」から普通はハーモニーがつく。しかし今回はあえてそうせず、ひとりぼっちの唄にした（手間を省いた訳ではない）。夏風邪のせいでちょっとかすれ気味の尚ちゃんの声がなんとも切なく、聴くものの胸を打つ。

もうひとつファンの皆さまへの贈り物、アルバムがお歳暮ならこっちはクリスマスプレゼントか。昨年のバースデイライブの会場と同じ豊洲PITで、12月19日(土)ライブがある（ゲストに藤井兄さんとMY LITTLE LOVERさんの参加が発表されている）。尚ちゃんの素敵な生唄を聴きに、ぜひとも足を運んでいただきたい。

夏が終わるとすぐ年の瀬がやってくる、そう感じるようになってから久しい。吹き荒れる冬の嵐のように移りゆく歳月の中で、ただ立っているだけでも苦しい人生である。それでもコートの襟を立て亀のように首をすぼめ、命ある限り一歩でも前へ進もうともがき歩くのだ。つらく苦しいときは尚ちゃんの唄を聴こう。